GitBucket 4.29.0をリリースしました

Scalaで実装されたオープンソースのGitサーバ、GitBucket 4.29.0をリリースしました。

https://github.com/takezoe/gitbucket/releases/tag/4.29.0

オフィシャルDockerイメージが利用可能に

DockerHub上でオフィシャルのDockerイメージが利用可能になりました(と言っても今まで個人のリポジトリに置いてあったものをOrganizationに移しただけですが)。

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以下のようにして簡単に起動できます。

$ docker run -d -p 8080:8080 gitbucket/gitbucket

SSH経由での接続も行う場合は-p 29418:29418を指定します。

$ docker run -d -p 8080:8080 -p 29418:29418 gitbucket/gitbucket

データディレクトリの場所は-vで指定できます。

$ docker run -d -p 8080:8080 -v `pwd`/gitbucket:/gitbucket gitbucket/gitbucket

リポジトリビューアのファイル編集ボタン等の改善

READMEを直接変更できるようになった他、編集・削除ボタンをアイコン化しました。

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危険な操作時に確認ダイアログを表示

これまでリポジトリの削除時は確認ダイアログを表示していたのですが、これに加えてリポジトリのオーナー変更時(Transfer Ownership)、GCの実行時(Garbage collection)にも確認ダイアログを表示するようになりました。

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今回のバージョンではこの他にも様々な改善やバグフィックスを行っています。詳細についてはIssueの一覧をご覧ください。

AirframeのFinagleサポートを試してみる

AirframeScala向けのDIコンテナを中心とした様々な便利機能を提供するプロジェクトなのですが、最近airframe-httpとairframe-http-finagleというモジュールが追加され、Finagleを使ったWebアプリケーションを簡単に作れるようになったので感じを掴むために軽く試してみました。

まず、build.sbtの依存関係はこんな感じ。

libraryDependencies ++= Seq(
  "org.wvlet.airframe" %% "airframe-http"         % "0.66",
  "org.wvlet.airframe" %% "airframe-http-finagle" % "0.66",
  "org.wvlet.airframe" %% "airframe"              % "0.66"
)

Webアプリケーションの実際の処理を作ります。ルーティングやパラメータのマッピングなどはアノテーションで指定する方式です。また、ケースクラスを返すと自動的にJSONレスポンスを返してくれるようです。とりあえずハローワールド的な感じでGETメソッドでパスパラメータを1つ受け取るだけのエンドポイントを定義しています。

import wvlet.airframe.http._

object MyResource {
  case class User(name: String)
}

trait MyResource {
  import MyResource._

  @Endpoint(path = "/user/:name", method = HttpMethod.GET)
  def getUser(name: String): User = User(name)

}

これを以下のようなMainオブジェクトで実行します。最小構成だとこんな感じですが、動作に必要なコンポーネントはAirframeのDI機能で合成されているので、いろいろカスタマイズすることが可能です。

import wvlet.airframe.http._
import wvlet.airframe.http.finagle._

object Main extends App {
  val router = Router.of[MyResource]

  val module = finagleDefaultDesign
    .bind[MyResource].toSingleton
    .bind[Router].toInstance(router)
    .bind[FinagleServerConfig].toInstance(
      FinagleServerConfig(port = 8080))

  module.build[FinagleServer] { server =>
    server.waitServerTermination
  }
}

ひとまずこれで動作を確認することができました。

Finagleを直接使うのはまあまあしんどいので、普通のWebアプリっぽく実装できるのはいいですね。また、httpサポートとfinagleサポートのモジュールが分割されているので将来的に他のバックエンドで動かすということもできるようになるかもしれません。

JIRAのチケット番号をリンクに変えるChrome拡張が便利

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仕事でもOSS活動でもJIRAを使うことがよくあるのですが、JIRAのチケット番号を自動的にリンクにしてくれるChrome拡張を見つけたので試してみました。

chrome.google.com

リンク先のJIRAは以下のような画面で設定できます。

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簡単なものですが、GitHubGmailなど様々な場面でチケット番号がリンクになるのでなかなか便利です。ただ、リンク先のJIRAが1つしか設定できないので、プロジェクト毎にリンク先のJIRAを設定できるともっと便利になりそうです。

追記:しばらく使っていたのですが、TwitterやSlackなどで投稿するメッセージを入力時にこの拡張の変換対象の文字列が含まれていると動作がおかしくなるという問題があり使用を断念しました。なかなか便利だったので残念です。

Docker/Kubernetes 実践コンテナ開発入門

職場では様々な用途にDockerが活用されていたり、今後はKubernetesを使いそうな気配もあるので予習しておこうと思い、最近出たばかりのこの書籍を購入してみました。

Docker/Kubernetes 実践コンテナ開発入門

Docker/Kubernetes 実践コンテナ開発入門

見た目は結構厚い本ですが、400ページほどなのでそこまで大ボリュームというわけではありませんが、DockerからDocker Compose、Docker Swarm、Kubernetes、そしてクラウドベースのマネージドサービスまでこの分量でよくまとまっています。ハウツー的な解説に加えて概念的な部分や、なぜこのような設定を行うのかといった部分がきっちり抑えられており、きちんと理解しつつ読み進めることができます。コラムも実践的で、著者の方の深い知識と実戦で培われたであろう経験に裏打ちされた良書だと思います。

唯一残念な点があるとすると索引でしょうか。索引を作ると言うのはなかなか面倒な作業で(大半は編集さんの仕事ですが)、自分が本を書くときは索引なんて適当で良いのではないかと思ってしまうこともあるのですが、読者の立場になってみると設定項目からページを引いたりと思いの外利用頻度が高かったりします。この本の索引はちょっと荒過ぎて使い物にならない感じです。ただ、電子書籍版であればテキスト検索でカバーできるかもしれません。

ともあれこれからDocker/Kubernetesを触ってみようという方はこれを読んでおけば間違いないのではないでしょうか。

クローリングハックの韓国版が出ました

前職の同僚諸氏と執筆したクローリングハックという書籍が韓国語に翻訳されたとのことで翔泳社さんから一冊お送りいただきました。

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表紙などのデザインモチーフは日本語版ではクモだったのですが、これは…カニ???

まあ、クモがちょっとというのはわかるのですが、いったいなぜカニに…。見た目が似てるからでしょうか。

GitBucket 4.28.0をリリースしました

Scalaで実装されたオープンソースのGitサーバ、GitBucket 4.28.0をリリースしました。

https://github.com/takezoe/gitbucket/releases/tag/4.28.0

プラグインインストール時にプロキシを利用可能に

プラグインリポジトリからのインストール設定を"System settings"に移動し、HTTPプロキシの設定を行えるようにしました。

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今回のバージョンでは以下のような大きなバグをいくつか修正しています。

  • プルリクエスト作成時の画面でプルリクエスト先/プルリクエスト元リポジトリの変更時にInternalServerErrorが発生することがある
  • ダッシュボードでのイシュー/プルリクエストの一覧表示にStackOverflowが発生することがある

該当のバグでお困りの場合はアップグレードを検討していただければと思います。修正内容の詳細についてはIssueの一覧をご覧ください。

Scaladocを実行時に読み取れるようにするコンパイラプラグイン

ScalaベースのフレームワークでクラスのメタデータからSwaggerなどを生成できるものがあるのですが、専用のアノテーションやオブジェクトを使って情報を記述しておく必要があり、特にパラメータの説明などはScaladocに書いたものをそのまま使えればいいのに、と思うことがありました。

そこで試しにScaladocとして記述したコメントを実行時にリフレクションで取得できるようにするコンパイラプラグインを作ってみました。

github.com

プロジェクトに以下の設定を追加しておくと使えるようになります。

libraryDependencies += "com.github.takezoe" %% "runtime-scaladoc-reader" % "1.0.1"

addCompilerPlugin("com.github.takezoe" %% "runtime-scaladoc-reader" % "1.0.1")

このコンパイラプラグインコンパイル時にScaladocの内容を@Scaladocアノテーションとしてクラスに埋め込みます。たとえば以下のようなクラスがあるとします。

package com.github.takezoe

/**
 * Hello, World!
 */
class HelloWorld {
  ...
}

このクラスから、実行時に以下のようにしてリフレクションでアノテーションを取得することでScaladocコメントを取り出すことができます。

import com.github.takezoe.HelloWorld
import com.github.takezoe.scaladoc.Scaladoc

val clazz = classOf[HelloWorld]
val scaladoc = clazz.getAnnotation(classOf[Scaladoc])

if(scaladoc != null){
  val comment: String = scaladoc.value()
  println(comment)
}

ClassだけでなくMethodFieldからも同じようにしてScaladocを取得できます。

ただし、/**から*/までがそのまま入っているので、実際にデータとして使うにはさらにScaladocをパースしてコメント記号を取り除いたりScaladocタグを抽出したりする必要がありますね。手軽に使えるScaladocパーサがあるとよいのですが…。