高橋信頼のOSS進化論(日経BP Next ICT選書) [Kindle版]

昨年亡くなられた高橋信頼さんのコラムを2001年から2013年まで1本ずつまとめたものです。

高橋信頼のOSS進化論(日経BP Next ICT選書)

高橋信頼のOSS進化論(日経BP Next ICT選書)

Linuxの普及からFirefoxの登場、Javaでのシステム開発におけるフレームワークRuby on RailsSeasar2オープンソースのパッケージ製品、最後の数年は復興支援など世の中に完全にOSSが根付いたことでOSSそのものよりも社会的な部分まで踏み込んだ、2000年代以降の特に国内エンタープライズにおけるOSS事情を追体験できる内容です。

価格もページ数もお手軽ですし、1本のコラムが適度なサイズなので読みやすいです。やはり電子書籍は現状リーダーの使い勝手も含めてこういうコンテンツが向いていると思います。

さて、この2001年からという期間はちょうど僕の社会人歴と丸被りなので、特に2008年くらいまでのコラムに関してはそういえばそんな感じだったなぁと懐かしい気持ちになるとともに、OSSの導入に苦心していた時代からまだ10年ちょっとしか経っていないのかということに若干の驚きを感じます。

自分自身、プログラマとしてOSSが普通に世の中で使われるようになったこの2000年代を体感できたのは幸せなことでしたが、特にこの世界は常に変わり続けているわけで、どの10年を切り取っても、きっと同じようにその時にしかない時代の移り変わりがあり、これからもあるのだと思うのです。そう考えると、この10年を振り返るとともに、また次の10年が楽しみであったりもします。

僕は高橋信頼さんとは直接の面識はありませんが(Seasar関連の記事もよく書かれていたので、もしかしたら自分が登壇した際に取材に来られていていたこともあったかもしれませんが、直接ご挨拶させていただいたことはありませんでした)、僕たちエンジニアとは違う立場から、国内でのOSSの普及に高橋信頼さんが果たされた役割は決して小さくないと思いますし、実際今こうしてその恩恵を得ているということを忘れないようにしたいと思います。

遅ればせながら高橋信頼さんのご冥福をお祈りいたします。