Scalaをはじめよう! ─マルチパラダイム言語への招待─

技術書典で販売されていた同人誌がインプレスR&Dさんから電子書籍&オンデマンドで発売されたものとのことで、Scala初心者向けの入門用書籍にどうだろうと思い、Kindle版を購入して読んでみました。

内容的にはScalaの基本的な部分がわかりやすく解説されています。IDEではなくsbtだけで進めていくのも環境構築でつまづく可能性が減るので入門書としてはよい判断なのではないかと思います。とはいえ、本当のプログラミング初心者ではなく、他の言語で一定のプログラミング経験のある方を対象読者として書かれているようです。説明がやや簡素すぎるのではと感じたり、理系の論文ぽい言い回しが気になる部分もありますが、想定されている対象読者層であれば問題ないのかもしれません。

内容については前から読み進めていくことでクラス、トレイト、オブジェクト、ケースクラス、for式、パターンマッチ、コレクション、implicitなどScalaでコードを書く際に押さえておくべきトピックが順次登場してきますし(個人的にはこの流れならFutureはなくても良かったかもという気もしますが)、モナドのような最初から理解していなくても問題ないトピックについてはコラムの形で解説されているなど、Scalaのエッセンスを切り捨てることなく、かつできるだけわかりやすく説明しようという工夫がなされています。

もちろん実際に業務でScalaを使うにはこの他にも様々な知識が必要になりますが、他の言語でプログラミング経験のある方が初めてScalaに触る際の手引きとしてはなかなか良い書籍なのではないかと思いました。