TACTICAL FRONTIER 進化型サッカー評論

footballistaの人気連載を書籍化したもので昨年発売された本なのですが、近所の書店で見かけて面白そうだったので購入して読んでみました。

サッカーの戦術だけでなく、育成やマネジメントなどファンとして試合を見ているだけではなかなか見えづらい部分も含めた幅広い領域をアカデミックな視点から紹介するというもので、難しい部分もありましたが新鮮な切り口でとても面白かったです。また、元々雑誌連載ということもあり1つ1つの記事が適度な長さで完結していて読みやすいのも良かったです。自分はヨーロッパサッカーに興味を持ち始めてから20年ほど経ちますが、本書は近代サッカーを振り返る内容でもあり、当時の選手のプレーやチームの戦術など、確かにそうだったなぁと思い返したり、そういうことだったのか!という発見があったりもしました。ただ、監督のリーダーシップに関する研究を紹介する記事でのベンゲルの分類に関しては若干疑問がありましたが…w

ライトなサッカーファンに新たな視点を紹介するという意味ではとても意義のある本だと思いますが、できれば参照している記事や論文など情報源へのポインタがあるとそこから読者がさらに掘り下げていくこともできるのでもっと良かったのではないかと思いました。しかしこの本が発売されてからまだ1年ちょっとですが、すでにヨーロッパサッカーの状況が変化しつつあるのも驚くべきことです。進化の速度がどんどん早くなっている気がしますね。